北陸新幹線金沢延伸後の小松市の未来を考える(食と観光を中心に)その2「鮨と割烹」
前回は、テーマの前段として石川の観光と食の抱える課題について考えてみました。
今回から本題の小松の未来について考えてみます。なお、この内容は私の独断と偏見かもしれませんので、そのあたりはご容赦を。
前回の最後に鮨・寿司が石川県のイメージ作りに欠かせないという話を書きました。
実は、その時に書いた「小松弥助」や「志の助」は、元々は小松にお店がありました。
「小松弥助」は別な理由もあったのですが、やはり小松ではなかなか商売的に厳しいものがあって、いまでは金沢でお店を開いています。
金沢の求心力にはやはりすごいものがあります。それが北陸新幹線の金沢延伸によってさらに加速されるでしょう。
小松に限らず石川県民は非常に保守的です。それは飲食店に対しても同じで、同じお店に足しげく通う人が多いのです。このこれはこれでいいのですが、逆に新しいお店が育たないという逆の面もあるのではないかと思います。
ただ、金沢は北陸の経済の中心でもあり転勤族も多く住んでいますし、また観光客も多いため、飲食店の新陳代謝も活発になります。
結果、小松には美味しい寿司店が多くあるのですが、残念ながら全国的に名が通ったお店がなくなってしまいました。
小松の千成さんもご主人が亡くなられ、あと有名なお店は小松弥助の森田さんが働いていたことがある「米八」ぐらいでしょうか?しかし、厳しいことを書けば「米八」も小松空港があったから、帰りの便の時間までの間に食べに来られるお客さんも多かったと言えます。
北陸新幹線が金沢まで開通したあと、わざわざ小松まで足を延ばして食べに来るかといえば、これまた残念ながら難しいと言わざるを得ません。
逆に加賀市のほうでは、山代温泉の「亀寿司」や「一貫」などあります。
同じ石川県でも能登では七尾が「すし王国 能登七尾」ということでブランド化に取り組んでいます。
話は少し変わりますが、繊維産業が盛んだった小松には数多くの割烹や料亭があります。これは、小松が昭和25年以降30年台にかけての景気拡大期、いわゆる「ガチャマン景気(別名「糸ヘン景気」)」の時代に、織機をガチャンと一回織れば万の金が儲かるといわれた時期があるのです。
そのため、儲かれば金を使うわけで、当時の小松市内の飲食店はどこも旦那衆で賑わっていたようですね。で、需要が増えれば供給も増えるわけで、多くの料亭・割烹・日本料理・寿司店が出来、その名残りといいますか、いまでも小松市内にはその手のお店が多いのです。
小松の料亭、割烹、寿司店などは、好景気の時代からの馴染みの客、つまり常連さんが支えているのですね。漁港のある安宅には「長沖」や「まつ家」。市内には「小六庵」や「一浪」などの料亭。割烹も人口10万人を少し超えた街にしては多く存在しています。
でも、今のままでは、このようなお店も常連客の高年齢化にともない、だんだんと経営的に苦しくなると思いますし、そうなってくると後継者や料理人を志望する人も少なくなってきます。このままではこれまでの資産が遺産になってしまいます。
個人的には、この遺産、いや資産を何とか活かせないかと考えますがいかがでしょうか?
参考になるのは、いまもこの時期にやっています「フードピア金沢」です。その中に「食談」というのがありまして、著名人を囲んで「食」談議を行う催しで私も一度だけ出席したことがあります。
これはあくまでも金沢のイベントだったのですが、一時期金沢以外でも開催されていて、小松の東酒造やまつ家なども会場となっていました。
もちろん、そのまま真似をすればいいということではないのですが、料亭や酒蔵を活用して、小松の地産地消の旬の食材を使った料理を楽しむのです。当然工夫が必要で金沢みたいなブランド力があるところとはまた違った試みでないといけないとは思いますが……。
今日のところはここまでです。次回は「場と食の組み合わせ」というテーマで書きます。
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