加賀伝統の麩料理を気軽に楽しめる金沢駅百番街内「不室屋カフェ」はお勧め
加賀料理の中で「麩」という食材は相当重要な地位を占めている。
今、全国上映中の、加賀藩に実在した料理人一家、舟木家を描く映画「武士の献立」。主演は上戸彩さん。私も何とか昨日観てきたのだが、その中でも加賀料理を代表する料理「治部煮」に麩を入れたということがセリフの中にあったほどだ。
ちょうど、今年「和食」が無形文化遺産に登録されたということもあって、映画の封切のタイミングもよかった。
さて、金沢は京都と並んで生麩・飾り麩の産地で、寺の多い金沢では元々は精進料理の食材として多く用いられてきた。
一般的には「麩」は脇役の食材だが、低脂肪・高タンパクで保存性が高く重宝されている。
水で練った小麦粉に含まれるタンパク質のひとつ「グルテン」を主原料としているのだが、低脂肪・高タンパクということで、現在でもヘルシーな食材として注目されている。
その金沢の麩が全国的にも認知されるようになってきたのは、石川県生まれの「ふやき御汁」という、モナカの中に調味料と細工麩や乾燥野菜を詰めてある、いわゆるインスタント味噌汁である。
これは、外側はモナカ。中に麩を中心とした具材が入れられているもので、手軽な汁物として我が家でも重宝されている。
加賀麩の老舗「不室屋」さんでは、色々な種類の「ふやき御汁」を出している。今日紹介する金沢駅百番街内にある「不室屋カフェ」では、その「ふやき御汁」をお吸い物にした、色々な金沢らしい料理を組み合わせたお弁当として楽しむことが出来る。
金沢駅内にあることから場所的にも便利で、観光客にも人気のお店となっている。外観や内部も明るく入りやすい雰囲気だ。
行ったのは晩秋の土曜日のお昼時間少し前。店内はほぼ埋まっていた。私はさっそくカウンター席に座りメニューを見渡した。一応、事前に食べるものは決めていたので、ざっとメニューを見渡しオーダーしたのは、こちらの「ふやき御汁弁当(1,500円)」。
ボリュームたっぷりで具だくさんの「ふやき五色汁」をお吸い物にしているが、おかずも本当に具沢山である。
「ふやき五色汁」は「すまし」と「味噌」仕立てが選べる。私が選んだ「すまし」は、花麩・豆乳麩という2種類の麩と、大根・人参・ほうれん草・南瓜・ごぼう・しいたけが入っている。量もたっぷりだ。
おかずは、麩をふんだんに使っ た料理の数々をお弁当風に仕立てていて、見た目も鮮やかで色々な種類のおかずを楽しめる。
内容は、生麩のフライ、生麩と五郎島金時の胡麻和え、麩入り玉子焼き、鮭西京焼き、タコ煮付け、しめじうま煮、小蕪・小芋炊き合わせ、鱈子昆布巻き、椎茸海老真丈、丁字麩・百合根の明太子和え、小海老とブロッコリーのドレッシング和え、揚げ花麩、大根甘酢付けなど盛りだくさんである。
椀物は金沢の郷土料理である「治部煮」。
中に入っている麩は「すだれ麩」。金沢独特の麩で治部煮には欠かせない麩である。ただ、こちらの治部煮には定番の鴨ではなく鶏肉が使われていた。
この麩は、最初にも書いたが、現在上映中の上戸彩主演の映画「武士の献立」で取り上げられている、加賀藩前田家の料理人、舟木伝内包早が作ったとされている。
たかが「麩」、されど「麩」。なかなか奥深い食材ではないか!?
ご飯は五穀米を使っている。
そして別の器に盛られて出されたのは「しぐれ麩」。一見、牛肉のしぐれ煮のよう。こちらは麩をたまり醤油で甘辛に炊いた佃煮で、ご飯に合う味だ。
1,500円でこれだけ盛りだくさんに食べることが出来るのは素晴らしい!
ちなみに、この「ふやき御汁弁当」は東京でも食べることが出来る。サントリー美術館にある不室屋直営の「shop×cafe」であるが、金沢で食べるより若干値段が高い。
あぁ、映画「武士の献立」。とても面白かったですよ!皆さんも是非観てください!
不室屋カフェ 百番街店
石川県金沢市木ノ新保町1-1
金沢百番街くつろぎ館1F
TEL 076-235-2322
9:00~19:00
無休
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