金沢市鱗町「料理 小松」は素材の旨みを生かして目でも楽しませてくれる粋な日本料理のお店
日本料理の名店「銭屋」で腕を磨き、銭屋がひがし茶屋街に出した「十月亭」で料理長を務めた後、4年前に独立して今の場所に店を構えた。
場所は鱗町交差点に近くだが、この手のお店をやるには決して恵まれた場所ではないと思うが、今では人気のお店の一つとなっている。
9月の土曜日に予約を入れ、開店時間少し前にお店に入ると、当然のことながら先客はいなかった。その後、1時間近く他のお客様が来なかったので、ご主人やカウンター内で料理を出してくれる女性の方と色々話をすることが出来た。
話をしていると、色々なところでつながっているのでビックリした。(^^;;
「料理 小松」は夜のコースは8,500円のみ。前はもう少し安いコースもあったようだが……?
まずは生ビールを頼む。
まず出されたのは「酒粕牛乳」(?という名前だったかな?)。食前酒かと思ったがノンアルコールだった。
先附「いちぢくの揚出し」。ちょうど10月までがいちぢくの季節。揚げ出しにすることによって無花果の甘さが引き出されていて美味しい。
余談だが、いちぢくは感じで書くと「無花果」。「花がない果」ということで外からは花がないように見える。これは花が実の中に隠れて咲くという変わった植物のためで、外からは見えないだけで、内側に空洞のある袋状に小さな花がたくさん並んでいるのだ。花といっても花びらがないのである。変わった果実なのだ。
八寸の籠盛は「カステラ、才巻海老、栗ロップ、茗荷、ブルーチーズ酒粕和え、銀杏、衣カツギ、鰤風干し」。
器も籠という粋な演出。もちろん、中の品々も粋な料理ばかりだった。へぇ~!と思ったのが「ブルーチーズ酒粕和え」。これが中々日本酒に合っていた。
吸い物は「土瓶蒸し 松茸、甘鯛」。今年初の松茸。まだ国産ではない時期だったが、十分に香りを堪能することが出来た。
造りは目の前でその都度、柵から切ってくれる。「アラ、アオリイカ、万十貝。中トロ」で、ポン酢と土佐醤油で食べる。白身はポン酢。中トロは土佐醤油がいい塩梅であった。
ここでお凌ぎ。「鮎おこわ 柴漬け」という品のある蒸し物。
焼物は「のど黒 幽庵焼き チャービルの根」。チャービルは仏名でセルフィーユ、和名でウイキョウゼリ(茴香芹)とも呼ばれ、主に葉の部分を料理の風味付けに使うが、その根を食べることもあるのだ。つまり芋として使うのだが、柔らかくて中々美味しい。
冷し物は「とうもろこし、生うに」。少し粗めに擂られたとうもろこしは非常に甘く、うにの濃厚な味にも負けない存在感であった。
煮物は「飛龍頭(ひりょうず) ふり柚子」、「ひりょうず」は、つまり「ひろうす」。または「がんもどき」と言ったほうがわかりやすいかもしれない.
水気をしぼった豆腐にすったヤマイモ、ニンジン、ゴボウ、シイタケ、コンブ、ギンナンなどを混ぜ合わせて丸く成型し油で揚げたものである。
最後の食事は「きのこ雑炊」。ダシにきのこの旨みが染み出して、これまた美味しい。飲み食いした後でもサラッと胃の中に消えていった。
食後の菓子は「紫芋 能登大納言」。見た目どおり甘いお菓子だったが、後口がよかったので私でも大丈夫。
全体的に味は上品で、そこはかとなく徐々に旨みが広がる繊細な料理が中心の構成で、旬の食材もうまく配置してありとても満足のゆく料理の数々であった。
また来たいお店の一つである。
料理 小松
石川県金沢市鱗町86-1
TEL 076-224-0118
11:30~13:30(L.O.)
18:00~21:30(L.O.)
日曜休
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