全国各地にある安藤忠雄氏の作品に触れて「石川・大阪・神戸・京都・松山・直島・東京」
大阪に住んでいるとき、安藤忠雄氏の対談を聞きに行ったことがある。
写真は、この4月末にオープンした「グランフロント大阪」の開業2年前のプレイベントのときのもの。実物の存在感の凄さは印象的だった。
彼は、大阪府政策アドバイザー(水都・都市景観分野)をつとめていて、そのオープン前の毎年開かれているイベントのために来ていた。
大阪出身の彼は、有名になった今も大阪に事務所を構えるほど、大阪をこよなく愛している。
安藤忠雄氏は、建築におけるノーベル賞といわれる「プリツカー賞」も受賞している世界的な評価を得た建築家であり、1997年には東京大学工学部教授に就任している(現在は退官して栄誉教授)。ご存知の方も多いので、あまり彼の紹介を書くつもりは無いのだが、西日本の各地に住んだり、旅行に行ったりした時に観た彼の作品を紹介したい。
安藤忠雄氏の建築といえば「コンクリート打ち放しと幾何学的なフォルム」が特徴。私が見たものも、大半がその特徴を有するものであった。コンクリート打ち放しは見た目が冷たい感じがするし、実際温まりにくく居住の場にはあまり適さない気がするが、近年は木材を使った建築の設計にも柔軟に対応しているようである。
まずは地元石川から。
石川県でも3つほど設計を担当した建築がある。こちらが加賀市の錦城中学校。木材をふんだんに使っていて彼にとっては珍しい建築かもしれない。
ほかに、かほく市立金津小学校(石川県かほく市)という学校も設計しているが、学校の校舎を2つも設計を手がけているのは石川県だけかもしれない。
こちらは、前述の金津小学校と同じかほく市にある「石川県西田幾多郎記念哲学館」である。
さて、肝心の安藤忠雄氏設計の同館であるが、まとめ方は、瀬戸内海の直島にあるベネッセハウスの宿泊施設「オーバル」や「地中美術館」にも似た設計思想を感じる。コンクリート打ち放しも、今回の西田幾多郎という哲学者の記念館というコンセプトには合っていると感じる。
敷地や建物の広さに比べると、展示スペースは少ないが、建物全体が西田哲学そのものを表現していると言えなくもない。
続いて、関西にある作品。まずは、彼に名を世に知らしめた、大阪の住吉大社のそばにある「住吉の長屋」。1976年のこの設計により、日本建築学会賞を受賞している。大規模な公共建築ではない小さな個人住宅として初めての受賞であった。
「サントリーミュージアム 天保山」。いまはサントリーが手放していて、大阪市が大阪天保山特設ギャラリーとして管理している。
神戸市の「兵庫県立美術館 芸術の館」。行ってみてびっくりの大きな美術館で、随所に安藤忠雄らしさが見られる造りであった。
京都では木屋町にある「タイムズ I&Ⅱ」。Ⅰは1984年比較的初期の頃の作品である。
愛媛県松山市の「坂の上の雲ミュージアム」。こちらも設計思想的には「石川県西田幾多郎記念哲学館」と似ている気がする。
司馬遼太郎の長編小説「坂の上の雲」を軸としたまちづくりの中心を担う施設である。
お次は、近年、再度注目されている瀬戸内海に浮かぶ島「直島」。彼が手がけた建築はいくつもある。
メインの宿泊施設とミュージアムが併設されている「ベネッセハウス ミュージアム」。珍しく、宿泊施設ということもあり木材を使用して温かみを演出している。
私たちが泊まったベネッセハウスのパーク棟は、瀬戸内海を望む丘陵地に建てられており、レストランや屋外アートが配置されている。都会の喧騒を忘れてのんびりとそたひと時を過ごしたい場所である。
「ベネッセハウス オーバル」も宿泊施設がメインだが、山の上にあり幻想的なイメージをかもし出している。ケーブルカーで登るのだが、たった6室だけの幻想的な雰囲気の場所であった。
こちらは「地中美術館」。安藤忠雄らしいといえばらしい造りで、美術館全体が地中にあり地上にあるのはエントランス部分だけ。これは環境に配慮したということだそうだが、ミュージアムの方は、太陽光を取り入れた設計で、圧迫感と言うよりは落ち着いた雰囲気の中でアートを鑑賞できる空間になっていた。
そののほか直島では、家プロジェクトとしての南寺なども手がけている。
九州では彼の作品も比較的少なく、これはあとで知ったのだが、JR九州熊本駅新駅舎もそうであった。
東京では、かの有名な「表参道ヒルズ」を手がけている。
御年71歳の彼だが、益々意気盛んで、21世紀臨調特別顧問、東日本大震災復興構想会議議長代理などの要職も兼務されている。いつまでも現役でいて欲しい検知かではないだろうか?
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