元は庶民の料理であった加賀料理「鯛の唐蒸し」
加賀料理については、前に「治部煮」を紹介したことがあるが、今日紹介する加賀料理は「鯛の唐蒸し」である。
「加賀料理」は、イメージ的には加賀百万石の大名の料理とか、高級料亭に出される料理思われていることがないわけではないが、実は昔は庶民の郷土料理であった。地元でとれた食材を日常的においしく食べるために工夫されてきたご馳走なのである。ただ、器だけは九谷焼や輪島塗などの豪華なものが使われていたところに加賀料理らしさがあるのだが、ハレの日に出されるご馳走として加賀料理は発展してきたのであろう?
さて、今日紹介する「鯛の唐蒸し」も、そんなハレの日の料理である。婚礼のときに、花嫁が持参した鯛を背開きし腹側までいっぱいに卯の花(おから)を詰めて蒸し上げ、腹合わせにして盛り付けたものが「鯛の唐蒸し」である。腹開きは切腹につながり縁起が悪いため、背開きされるようになったようだ。また、腹いっぱいのおからは、子宝に恵まれますように、という願いが込められている。昔の人の「子宝」に対しての思いがよく表れている料理ではないか!?
いまでは、石川県でも「鯛の唐蒸し」を婚礼のときに出すところはどれだけあるかはわからないが、料理だけは今でも残り、「料亭」や「温泉旅館」などで出されることがある。
写真の上は「あらや滔々庵」で出されたもの。下は「太平寿し」で出されたものである。どちらも、上品な脂ののった鯛の身に、おからの旨みがマッチし、さらには出汁の利いた餡が、両方の味をうまくまとめている一品であった。
地元に住むものとして、もっと、加賀料理に親しみ、機会があれば食べるようにしたいものである。
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コメント
カパコさん
ご自分の時には出されたんですね!?
それは素晴らしい。
いまどき、珍しいのでは??
まさか、腹開きだった・・・・・
(^^;;
o( ̄ ◇ ̄)○ぱぁぁんち
投稿: あさぴー | 2005/11/24 20:25
カパも鯛の全身の唐蒸ししか食べたことないです。
・・・・・自分の時とか。
投稿: カパ | 2005/11/24 17:06
むねさん
こんばんは。
ありゃ?
もしかしたら、太平寿しのは「ノドグロの蒸し寿司」かも・・・?
(^^;;
記事書いていて、だいぶ前の写真を引きずり出してきたもので。
ちょっと記憶をたどると、そうかもしれません。
投稿: あさぴー | 2005/11/23 21:59
こんばんわ。
寒くなりましたね。秋は足早に過ぎ、冬間近といった感じでしょうか?
この記事の「鯛の唐蒸し」美味しそうですね~。
太平さんとこの「ノドグロの蒸し寿司」とはまた違った感じなのでしょうね。
と考えるうちにまた行きたくなったり…。では。
投稿: むね | 2005/11/23 18:11
カエデママさん
こんにちは。
鯛の形のままの唐蒸しとは豪勢ですね!?
昔はたいそうなご馳走だったようです。
結婚式で、丸ごと一匹の鯛の焼き物がよく出されましたが、これは処理に困りましたよね~?(^^;;
結婚10周年には是非食べてください。(^_^)
投稿: あさぴー | 2005/11/23 15:47
一度だけ、鯛の形のまま出していただいたことがあります。私も主人も宴会料理などで口にしたことがあり、それはお世辞にも美味しいとは言えないものばかりだったのですが、本当のから蒸って凄い美味しいのでびっくりした覚えがあります。その時から結婚10周年には絶対にもう1度、あの鯛のから蒸をご馳走しろと今から旦那にねだっております(汗)
私事で失礼しましたm(_ _)m
投稿: カエデママ | 2005/11/23 12:18